結核治療法に対する指示順守度の促進(adherence=指示順守度:患者が了承した治療をやめたい気持ちと闘いながら継続する度合)

Promoting adherence to tuberculosis treatment

Volmink J, Garner P

最終更新日:29/01/1997


目的:抗結核治療法の順守促進に用いられてきた戦略の有効性を確定すること.

検索方法:MEDLINE 1966年〜1996年8月.コクラン比較臨床試験レジスター(1996年10月).LILACS1982年〜1996年9月.治療法の順守に関する論文の参考文献.結核あるいは治療法の順守に関する分野での専門家との協議.

選択基準:治療法の順守の少なくとも1つの指標として,結核治療薬や予防的結核化学療法のコンプライアンスを向上させるランダム化あるいは偽ランダム化比較試験.

データ収集と解析:研究方法,関係者,介入あるいはアウトカムに関するデータは集計され,方法論的な質が評価された.95%の信頼区間によるピートのオッズ比を用いてのカテゴリー変数のアウトカムによって有効性は評価された.

主な結果:有効であると思われた戦略は,不履行者に督促状を送る,ヘルスワーカーの資格を持つものが患者を支援する,患者に金銭的報酬の示唆をする,結核治療関係者による監督を強化するなどである.健康教育が治療の順守を導くかどうかは,これまでの試験からは分からない.直接管理下のもとで行なう治療(DOT)が,費用の面から見て最も有効で,結果として完全な結核治療となる方法だと広く受け入れられているが,この見解を確立する,または,否定する試験は全く見られないだろう.

結論:ランダム化比較試験の結果,いくつかの戦略で結核治療法の順守を促進できることが分かった.これらは,状況をふまえ,それが妥当であるかを考えた上で実地臨床で採用されるべきである.低所得者の国でも,有効となる解決策を見つけるために,さらなる新制度が試されるべきである.直接管理下のもとで行なう治療(DOT)自身の有効性を評価するためのランダム化比較試験が待たれる.


Citation: Volmink J, Garner P. Promoting adherence to tuberculosis treatment. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:矢野 礼/吉村 学,鶴岡浩樹)