禁煙における鍼治療

Acupuncture in smoking cessation

White AR, Rampes H

最終更新日:19/11/1997


目的:禁煙に対して,プラセボ効果に勝って鍼治療が特異的な効果を持っているかどうかを評価する.

検索方法:"smoking","acupuncture"の用語でコンピュータ上のデータベースを検索した.参考文献は出版された総説,臨床試験論文,学会抄録,喫煙と健康に関する定期刊行物,著書目録から得た.

選択基準:ある鍼治療形式と,見せかけの鍼治療,他の介入あるいは無介入とを比較したランダム化比較試験全体.患者は禁煙を望む18歳以上の喫煙者.

データ収集と解析:治療後早期の6ヶ月と12ヶ月の禁煙率がレポートよりデータとして抽出された.経過観察が行えなかった対象者は喫煙者とみなされた.鍼治療に対する異なる手法(例えば見せかけの鍼治療,他の治療による対照,無介入)と異なる術式間の効果のオッズ比が繰り返し比較された.

主な結果:本レビューにおいて,禁煙に対する鍼治療はどの時点でみても,見せかけの鍼治療に対して優位ではなかった.早期のアウトカムに対するオッズ比は1.20 (95%CI 0.97〜1.47),6ヶ月以後は1.29 (95%信頼区間 0.82〜2.01),12ヶ月以後は1.02 (95%信頼区間 0.72〜1.43)であった.同様に,鍼治療と他の禁煙に対する介入を比較したところ,どの時点のアウトカムにも差はなかった.鍼治療は早期の結果においてはどの介入に対しても優位ではなかったが,しかしこの違いは永続的なものではない.異なる術式間の効果は,どの特定の手法(例えば,耳介鍼治療または非耳介鍼治療)においても対照介入に対して優れてはいなかった.

結論:鍼治療は禁煙に対して単にプラセボとして作用するようにみえる.将来の研究は,鍼治療がニコチン禁断症状の減少を導くかどうかを調査することに集中するべきである.


Citation: White AR, Rampes H. Acupuncture in smoking cessation. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:福井直仁/糸矢宏志)