気管支喘息の治療における鍼療法

Acupuncture for the treatment of asthma bronchiale

Linde K, Jobst K, Panton J

最終更新日:29/01/1997


目的:気管支喘息の治療における鍼療法の有効性を評価する.

検索方法:コクラン気道グループのデータベース,補助医学に関するコクランフィールド,既に出版されている総説論文の参考文献を用いた.

選択基準:喘息もしくは喘息様症状の治療における鍼療法のランダム化比較試験.

データ収集と解析:論文の標準的な項目である患者,方法,介入,アウトカム,結果によって抜粋した.そのうちコクランデータベースに組み込めるような形式で書かれたデータはほんのわずかしかなかった.

主な結果:7つの研究が選ばれたが,どの研究も直接に比較出来るものではなかった.そのうち2つの研究ではそれぞれの方法において正しいと考えている経穴を用いた鍼療法が間違っていると考えている鍼療法より優れていた.その他5つの研究ではそれらの間で有意な差がなかった.しかしながら,いくつかの研究では,伝統的中国医学で喘息の治療には適切であると考えられている経穴を間違った経穴として使用していた.また1つの研究だけが個人によって違った経穴を使用していた.

結論:現在報告されているデータに基づくと,患者,主治医,鍼療法士に対して,喘息の治療に鍼療法を用いることは奨められない.鍼療法が公に広く行われてきている現状を考えると,鍼療法の治療としての複雑な性質を考慮に入れた定量的な研究が早急に必要である.


Citation: Linde K, Jobst K, Panton J. Acupuncture for the treatment of asthma bronchiale. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:福田泰代/小林正人,関 義元)