会陰裂傷修復における吸収性合成糸とカットグット縫合糸との比較

Absorbable synthetic vs catgut suture material for perineal repair

Kettle C, Johanson RB

最終更新日:27/05/1997


目的:合成吸収糸(polyglycolic acid and polyglactin)とカットグット縫合糸を比較し,経膣分娩後の会陰裂傷修復を行った産婦の短・長期的産褥罹病率への影響を判定すること.

検索方法:このレビューはコクラン妊娠と出産グループにより開発された検索方法を利用し,同グループの比較臨床試験特別レジスターのなかで同定された全ての関連試験が含まれている.

選択基準:このレビューにはpolyglycolic acid/polyglactinとカットグットとを比較したすべての確認できた適切なランダム化比較試験が含まれる.最近終了したIpswich(The Ipswich Childbirth Study)の試験は結果が投稿中であるため,このレビューには含まれていない.

データ収集と解析:データはそれぞれの出版されたレポートから抜き出されてReview Manager software(RevMan)に直接入力された.入力データは副判定者のRichard Johansonによってその正確性がチェックされた.Olah(Olah 1990)の試験のデータの不足分はAdrian Grant教授から間接的に得た.データ分析ではオッズ比を出すためにPeto法を利用した.

主な結果:7つのランダム化試験が同定され,このシステマティック・レビューに含められた.各試験ではpolyglycolic acid使用群で短期疼痛の頻度がより少なく,使用鎮痛剤の量も減少したという結果で一致していた.長期にわたる疼痛については両群とも差はなかったが,polyglycolic群で縫合離開の頻度は少なかった.残念なことではあるが,Mahomed(Mahomed 1989)の試験でのみ,縫合糸を抜糸して検討がなされおり,その抜糸はpolyglycolic acid群でより一般的に行われていた.しかしながら両群間で性交痛を訴える頻度に違いはみられなかった.

結論:最新の知見をもとにすれば,吸収性合成縫合糸(polyglycolic acid/polyglactin)の使用により短期疼痛の程度が少ないため,産後の会陰裂傷修復に対して使用すべきである.しかし,吸収までに時間がかかるため,吸収性合成縫合糸の長期的効果についての問題は依然残ったままである.Ipswich試験結果の公表が待たれるが,それによりpolyglactin(Vicryl)の有効性の知見が示されるであろう.選択された縫合糸の影響を見極めるための長期間の追跡が含まれた試験が早急に必要とされる.どのような新しい縫合糸でもそれが広く使用される前にランダム化比較試験により評価をうける必要がある.


Citation: Kettle C, Johanson RB. Absorbable synthetic vs catgut suture material for perineal repair. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:直江正保/佐藤孝道)