帝王切開時における子宮筋層切開に対する吸収性ステイプルの使用

Absorbable staples for uterine incision at Caesarean section

Enkin MW, Wilkinson C

最終更新日:25/12/1994


目的:ステイプルを使用しない従来の方法に比較し,深部帝王切開時の筋層拡大に吸収性ステイプルを用いた時の効果を評価するのが目的である.

検索方法:試験はコクラン妊娠と出産グループの比較臨床試験特別レジスターから確認された.

選択基準:以下の基準をみたす全ての出版されたあるいは未出版のさらには進行中の試験である.対象:選択的あるいは緊急帝王切開をうける妊婦.方法:子宮切開の拡大にステイプルを使用した場合と用手的か鋏を使用した場合とを比較した.結果の測定:手術時間(子宮切開から児娩出まで)・全手術時間・出血量・ヘモグロビンの低下・輸血の有無・産後ヘモグロビン<10g/dlの頻度・産褥熱/感染・アプガースコア低値.

データ収集と解析:データは不公平さを排除する方法をとらずに著者により各試験から抽出した.

主な結果:全手術時間に差は見られなかったが,ステイプルの使用は児娩出までに要する時間を有為に増加させた.出血量はステイプルを使用した場合減少したが,これらの各試験における出血量の評価の正確性とその減少の度合い(41ml)の生物学的意義は議論のあるところである.

結論:特に手術費用の増加の観点において,深部帝王切開で子宮切開の拡大にこれらの道具をルーチンに使用することを正当化する良い証拠はない.児娩出時間の延長によりその使用は実際に有害である可能性がある.


Citation: Enkin MW, Wilkinson C. Absorbable staples for uterine incision at Caesarean section. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:直江正保/佐藤孝道)