2. 日本語翻訳の経緯 (history of Japanese translation)
The Cochrane Library / CDSRの英文抄録はcopyright freeである。日本を管轄するAustralasian Cochraneのセンター長で、当時コクラン共同計画のSteering CommitteeのchairをしていたDr. Chris Silagyに確認して、日本語訳の作業をすすめた。1997年に国立衛生試験所のserver(http://www.nihs.go.jp/dig/cochrane/jp/revabstr/jp/abidx.htm)に収載され、JANCOCのhomepageからリンクが張られた*)。その後、下記のようにupdateしてきた。
The Cochrane Library 1997 issue 3 | タイトルのみ | 1997年09月30日up |
The Cochrane Library 1997 issue 4 | タイトルのみ | 1998年01月07日up |
The Cochrane Library 1998 issue 1 | 325件 | 1998年06月24日up |
The Cochrane Library 1998 issue 2 | 377件 | 1998年12月02日up |
The Cochrane Library 1998 issue 3 | 427件 | 1998年12月29日up |
The Cochrane Library 1998 issue 4 | 481件 | 1999年04月19日up |
これ以降、訳作業は中断している。その理由は以下の通りである。
第1に、毎回30件、年間で約100件程度の新規発行がある。またその他、更新されるものがある。これらを素訳者/チェッカーとやり取りしwebに収載するまでの作業が3ヶ月おきになされなければならない。
第2に、1999年issue2より、英文の抄録の記載方法が全面的に改訂された。本文の更新時には、'update' が付されるが、抄録のみの改訂ではupdate扱いにならない。しかし改訂されたものを見分ける必要がある。
上記作業は膨大なため、コーディネータによるボランタリな作業で取り扱える量を超えた。
3. 各国との訳の調整 ( coordination with other language translation )
1997年10月のAmsterdamでの第5回Cochrane Colloquiumでinformal discussionの後、1998年初頭にTranslation Groupが以下の4人でスタートした。
JANCOCは、福井直仁(Naohito Fukui)と廣瀬美智代(Michiyo Hirose)がcontact pointとしてe-mailでこのGroupと連絡をとりあいながら、作業を進めている。
4. 各国語訳の現状と見通し ( status and perspectives of various language version )
Romeでの第7回Cochrane Colloquiumの期間中の1999.10.9(土)に、フランス、ドイツ、ポルトガル、ロシア、スペイン、日本(福井・廣瀬の代理で、津谷・金子が参加)などが参加し、Group meeting があった。司会は、Update Softwareでこの件を担当しているMs. Rachel Stancliffe。現状の分析(資料配布)と今後の更なる強調が確認された。The Cochrane Library / CDSRの抄録の各国語訳は1999年10月で以下のとおり。
language | abstract 翻訳数 |
French | 9 |
German | 60 |
Italian | 30 |
Spanish | 25 |
Russian | 0 |
Japanese | 466 |
Portuguese | 12 |
日本語訳が数としては一番先行している。
Abstract訳は、一部のポルトガル語訳を除いて、現時点ではインターネット版のみであり、CD-ROM版では提供されていない。
将来、The Cochrane LibraryがDVDで提供されるようになれば、各国語版抄録もそこに含んで提供できる可能性がある。
各国語訳は、訳のカバーシートに、訳の方法、conflict of interest、 acknowledgementなどを入れることとなった。
5. 日本語版の版権(copyright of Japanese translation)
8に示すように一度金銭が支払われたが、基本的にボランタリーベースで行われてきている。このため日本語版について、素訳者やチェッカー、JANCOCなどの権利関係が不明確なままとなっている。
6. 利益のコンフリクト(conflict of interest)
特になし
7. 将来 ( future )
CDSR abstractの日本語訳に対する強いニーズが存在する。国立衛生研究所(旧・国立衛生試験所)の統計によれば、2000年のCDSR abstractの日本語訳への月間アクセス数は約1,000件である。
CDSRのabstract関連の日本語訳に関しては以下の5つが、安定したしかるべき主体によって一括して行われる、ないしコーディネートされるのが望ましい。すなわち、1)翻訳作業とweb上の無料公開、2)紙媒体での出版事業(全部/一部、図書/雑誌)、3)CDSR全体の日本語訳、4)これまでの素訳者/チェッカーの「権利」への対応、5)内容に対する質問への対応、である。
8.謝辞(acknowledgement)
本抄録の訳の一部は、平成9年度厚生科学研究オーファンドラッグ開発研究事業「難治疾患・稀少疾患に対する医薬品の適応外使用のエビデンスに関する調査研究」によった。基本的にボランタリーベースで翻訳作業を行っている。